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美日化粧品でシミは取れない②

強い紫外線は、体内で細胞を破壊するなど、人間にとっては好ましくありません。ガーゼからハンカチに侵入した紫外線をスポンジまで到達させないために、肌はハンカチにたくさんのメラニン色素を出すのです。メラニン色素は、肌の色に関係する色素です。色を左右するだけでなく、紫外線を防ぐ盾のような役割もしてくれます。強い紫外線を受けると、肌の構造ではハンカチの部分にたくさんメラニン色素ができるため、肌の色は濃くなっていきます。それが日焼けです。日焼けした肌は、秋から冬にかけて紫外線に当たる機会が少なくなると、色は薄れていきます。紫外線が少なければたくさんの盾は不要です。

ハンカチの部分で不要となったメラニン色素は、ガーゼの部分に押し上げられて身体の外に捨てられます。紫外線を浴びて、盾となるメラニン色素が作られ、紫外線が弱くなって不要となったメラニン色素は身体の外に捨てられる。そのサイクルはおよそ1か月です。これをターンオーパーといいます。ターンオーバーの機能が正常であればシミはできません。ところが、細胞が老化してしまうと体外に捨てる機能が上手く働かなくなり、メラニン色素が肌にとどまってしまうのです。しかも、細胞そのものも、老化によって正常に働くことができなくなり、必要のないいわば余分なメラニン色素をどんどん作り出すような暴走まで始まります。

メラニン色素を捨てることができない、加えて、不要なメラニン色素がどんどん作られる。その結果、ハンカチの部分からその下のスポンジの上の部分にまで、メラニン色素は沈殿しまうのです。こうなると、ガーゼの部分に押し上げて捨てることはできません。ホクロや入れ墨と同じで、どんなに洗っても、美白の化粧品を使っても、そのシミは消えないのです。つまり、美白化粧品を使っても無意味。それが老人性色素斑です。さらに、老人性色素斑がやっかいなのは、紫外線に当たると、シミの輪郭が広がるだけでなく色も濃くなり、細胞の不健康な状態を加速させます。

このような状態になった細胞は、以前の細胞とは違った顔を持ち、盛り上がったイボのようになっていくのです。これを「脂漏性角化症」といいます。皮膚科ではレーザーによる治療が盛んに行われているほどよくあるシミともいえます。老人性色素斑を放置すれば、脂漏性角化症に移行して、ひどいシミの状態になってしまう。そうなる前に食い止めることに反対はしません。しかし、肌の老化は美白化粧品では止められないのです。むしろたくさんの化粧品を使うことで、肌にストレスを与えて老化を加速させてしまうこともあります。老人性色素斑の「シミ取り」は、化粧品に期待しないでいただきたいと思います。

美日化粧品でシミは取れない①

一般的に「シミ」は肌にとって大敵といわれ、いわば嫌われ者のように扱われています。確かに加齢に伴い顔にでるシミは、女性にとっては悩みのタネのひとつです。最近では、身だしなみを気にする男性も、シミに悩まされています。シミをなくしたいと願うのは、男女問わずの状況になりつつあります。さて、鏡を見て頬骨の辺りに茶色の米粒程度のシミを発見したときに、みなさんはどうしていますか?「なんとかしなければ」と美白クリームを購入して、シミ退治に悪戦苦闘をすることは珍しい話ではありません。しかし、みなさんは、どうしてそれをシミと判断しているのですか?俗に肌に浮き出た色の濃いものを「シミ」といいますが、本来、シミにはさまざまな種類があるのです。

中でも、中高年の方々を悩ませているのは 「老人性色素斑」というシミです。「老人性」といわれているので、ご高齢の方のシミのようですが、30代からでもできます。豆粒大から1センチほどにも大きくなった茶色のシミは、頬骨の辺りの肌の厚みが薄い部分にできやすく、放置しておくと徐々に色が濃くなります。また、少しずつ大きくなっていくことも珍しくはありません。この老人性色素斑の原因は、老化と紫外線に関係しています。肌の細胞の老化は、30代以降に加速しますので、30代でもこのシミはできやすくなるのです。こんな話をすると、「肌に栄養を与えてシミを消さなくっちゃ!」という人がいます。

しかし、以前お話をしたように、肌の細胞に表面から直接栄養を与えることはできません。仮に栄養分を与えることができたとしても、老人性色素斑のシミを消すことはできないのです。その理由について、以前説明した肌の構造に触れながらお話したいと思います。肌の構造のイメージでは、土台となるスポンジの上にハンカチ、その上にガーゼがのっています。ガーゼの部分は細菌などが侵入してこないように「バリア機能」が発達しているといいました。でも、強い日差しと共に降り注ぐ紫外線は、そのバリア機能をすり抜けて体内に入ってきます。

スキンケアを考えるならば、保湿と紫外線防止の2つだけ②

化粧品の紫外線防止の指標となる「PA」は、UVAをどれだけ遮断できるかを示し、「PA+」は効果がある、「PA++」はより効果が高い、「PA+++」は非常に効果があるとされています。そして、「SPF」は、UVBをどれだけ遮断するかの指標で、「SPF50」という場合には、何も紫外線対策をしないでUVBを受けたときと比べて、UVBを50分の1にカットできるという意味になります。真夏の紫外線の多いときには、「PA+++」や「SPF50」を目安に効果の高い化粧品を選んでいただきたいと思います。ただ、紫外線防止効果が高いものは、その成分によって肌がダメージを受けやすいことも考えられます。

真夏といっても、海水浴場など紫外線の多い場所以外、すなわち日常生活では、「SPF20」や「SPF30」で十分だと思います。さらに、紫外線防止化粧品の基材にも幾つも種類があるのですが、先程おすすめした紫外線反射剤は、「酸化チタン」や「酸化亜鉛」、「酸化セリウム」「カオリン」「タルク」などが配合され、紫外線を皮膚の表面で跳ね返す作用があります。皮膚の中への侵入を拒むことができるのです。一方、化粧品の中には、紫外線吸収剤を用いているものもあります。「オキシベンゾン」、「t-プチルメトキシジベンゾイルメタン」、「メトキシケイヒ酸オクテル」「パルソールA」「メギゾリルSX」などの化学薬品が使われ、それらの成分が紫外線を吸収することで肌の奥への紫外線の浸透を拒むのです。

しかし、肌の表面に紫外線を取りこむことにつながるため、あまりおすすめできません。ファンデーションのなかにも、紫外線反射剤の入ったものもあるのですが、反射剤の成分の影響で白っぼく見えやすいのが欠点といえます。いずれにしても、肌にとっていいのは、外部の敵を肌の表面から侵入させないことです。「保湿」で肌のバリア機能を保ち、「紫外線反射剤」で紫外線をはじき返す。この2つこそが、肌の表面からアプローチするスキンケアでなによりも重要といえます。高価な美容液よりも、「保湿」と「紫外線反射剤」で、肌を守ることが美肌に通じると考えていただきたいと思います。

スキンケアを考えるならば、保湿と紫外線防止の2つだけ①

日頃、スキンケアの方法について尋ねられたときに、私は、「保湿と紫外線防止だけを考えて化粧品を選んでください」といいます。すると、「えっ! それだけですか?」と驚かれることがよくあります。その理由を尋ねると、「スキンケアの化粧品には、美白効果や、肌の弾力を蘇らせるための成分など、さまざまなものがあるので、その選び方を知りたかったからです」といわれました。化粧品の成分が肌の奥まで浸透して弾力を補い、シミを消す、あるいはシミができないようにしてくれると、心の底から信じている人のなんと多いことか。

これまでお話をしてきたように、肌の表面から肌の奥の細胞に、栄養分を送り届けることはできません。ただし、スキンケアそのものは、肌の健康をキープするために必要不可欠といえます。肌は常に外部からの刺激を受けています。スキンケアの目的は、その刺激から肌をいかに守るかに尽きます。栄養分の補給ではなく、お肌の「保護」としてスキンケアを考えていただきたいのです。外部の刺激から肌を保護するために最も有効なのは「保湿」です。カメの甲羅のようにピッシリと細胞を敷き詰めた肌の表面は、細胞の隙間に水分を保持して、外部からの細菌などの侵入を阻むバリア機能を持っています。

水分が蒸発してしまうと、隙間が生じて細菌などが侵入しやすくなります。そのため、バリア機能を正常に保つために保湿が重要になるのです。保湿は水分補給ではなく、バリア機能の水分が蒸発するのを防ぐために、とても大切なことといえます。美白よりも保湿を考えてください。シンプルな成分のスキンオイルを塗っても保湿はできますし、コラーゲンやヒアルロン酸も、肌の表面における保湿のためには役立ちます。わざわざ高価な化粧品を選ぶ必要はありません。

保湿だけを考えるならば、500円以下の化粧品を使っても十分です。ただしもうひとつ、紫外線対策のためUVカットの化粧品の使用も忘れないでください。紫外線は、肌の細胞を破壊するだけでなく、遺伝子を傷つけて老化を加速させ、がんなどの病気にも結び付くため、避けるに越したことはありません。私がおすすめしているのは、紫外線反射剤の入った化粧品です。紫外線は、太陽光から地球に放たれた電磁波で、地球上にはUVAとUVBの2種類が届いています。

美白化粧品も、保湿目的以外にはほとんど役に立たない②

美白化粧品の効果が非常に高いものであったとするならば、使用当初は、顔の肌が部分的に白抜けしたようになるはずです。さらには、顔だけ真っ白な肌になって、手足など全身の肌と極端にかけ離れたものになる可能性があるのです。私たち日本人は、黄色人種で肌は薄い茶色の色をしています。なかには、色白の人もいますが、少しだけ肌に色がついているのが基本です。この肌の色を維持できているのはシミの原因といわれるメラニン色素があるためで、そもそもメラニン色素が肌にあることで、人間は紫外線から身を守ることができるのです。本来のメラニン色素の役割はプロテクターです。そんなメラニン色素を完全にできないようにすると、肌の色を保つことができなくなり白くなっていきます。

ただし、すでに肌の中に存在しているメラニン色素が、完全に身体の外に捨てられるまでにおよそ1か月程度かかります。新たなメラニン色素をシャットアウトして、肌が真っ白になるまでの間、肌の細胞に散らばったメラテン色素は、少しずつ身体の外に捨てられるので、まだらな肌の色になることが考えられるのです。そして、メラニン色素を失った肌は、紫外線に無防備な状態になるため、屋内でわずかな紫外線を浴びただけでも、肌の細胞が炎症を起こす可能性があります。つまり、効果の高い美白化粧品を使うと、肌の色を失うだけでなく、炎症を引き起こしやすい弱い肌の状態になってしまうと考えられるのです。しかし、多くの人に「効果がある」といわれている美白化粧品を使っても、まだらな色抜けや肌の炎症で悩まされる人はいません。

なぜならば、医薬部外品の化粧品は、薬のような効果の高さを持つほどの成分は配合されていないからです。たくさん塗っても肌が白抜けしないような仕組みになっていて、結局、シミに対する効果もその程度ということになります。美白化粧品を使って肌の状態がいいという人はそのまま使用しても構いませんが、「美白化粧品を使っていてもシミが消えない」という人は、化粧品の効力はその程度しかない」と思っていただきたい。また、「美白化粧品を使っていないからシミができてしまった」と嘆く必要もありません。すでにお手持ちの美容液も、「美白」ではなく「保湿」のためにしか役に立たないことをご理解いただいて、活用していただきたいと思います。